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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

「静かに、ご修行でございます。しかし、近いうちに、慈円僧正には、ふたたび、叡山の座主におつきになられるようなお話でございますから、そうなると、滅多にお目にもかかれなくなろうと思われまする」

「わしのことは、くれぐれ、案じてたもるな、この通り、ひところよりは、心の決定を得て、体もすこやかに暮しておる」

「慈円様にも、御安堵のようにお見うけ申されます」

「こよいの暴風雨で、青蓮院のほうも何かと騒がしかろう。わしの見舞よりは、僧正のお身のまわりこそ――」と、吠える空の雲に眸をあげて、

「はやく、もどれ」といいながら、窓をしめた。

三

「ひどいことでしたな」

「えらい暴風雨もあったもので」

「こんな大風は、もの心ついてから覚えがないわ」けろりと晴れた翌る日の青い空を仰ぎながら、町の人々は、倒壊した人家だの、流された橋の跡だの、巨木の薙倒された並木などを見て歩いていた。

吉水の禅房は、山ふところに抱かれていたせいか、比較的に、被害のすくないほうだったが、それでも、屋根は半分も剥ぎとられていた。

「降ったらすぐ困る」

「雨よりは、寒さが防げぬ。せめて、上人のお部屋でも先に」と、禅房の人々は、軒へ梯子をかけ、法衣の袂をからげて、屋根へのぼっていた。