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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

「待てっ」と、どなった。

禅閤はふり向いて白い眉毛の蔭からじろりと男の顔を見、すぐ何かを感じ取ったもののように、

「用事は、執事にいうてくれ」と落着いた顔でいった。だが、驚いたのは、周囲にいあわせたこの館の小侍や稚子や牛飼たちで、

「こらっ、何するか」

「無礼者っ」隔てようとして立ち騒ぐと、

「うるせえっ」一喝して、

「めったに、俺のからだに触ると、蹴ころすぞっ。てめえ達に用があって来たのじゃねえ、この間から、いくら使いをよこしても、ウンともスンとも返事がねえので、今日は自身で月輪殿に談合に来たのだ。黙ってひかえていろ」そして、たとえ、刃物沙汰に及んでも離すまじく示して、

「月輪殿、おれの談を聞け」と、喚きたてた。

すわ、九条殿の館の前に、何事かが起ったぞと、物見だかい往来の者が、一人立ち二人立ち、もう垣をなすほど集っていた。

七

供の侍は、ついにたまりかねて、

「おのれ、慮外な振舞いをなすと、六波羅の糺明所へ突き出すぞよ」四郎の袴腰をつかんで、月輪殿の側から引きもどそうとすると、振向きざま、

「何、おれを警吏へ引き渡す? おもしろい、糺明所へでもどこへでも突き出してもらおうじゃねえか」