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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

「どこへ行った、七郎は?」牛飼は、足をとめて、後ろの道をふり向いた。郎党ていの青侍が三名、何かふざけながら、遠く遅れて歩いてくるのが見える。

「ちッ」と、輦の上の少年は、大人びた舌打ちをした。赤い頬と、悪戯ッぽい眼をもって、

「――わしを、子どもと思うて、供の侍どもまで、馬鹿にしおる」両方の手を、口のはたに翳して、おうーいっと、大声で呼んだ。その声に、初めて、気がついたように、郎党たちは、輦のそばへ駈けてきた。

「馬鹿っ、馬鹿っ、何をしてじゃっ」少年は、頭から怒りつけて、それからいった。

「あれ、あの丘の裾に、うずくまっている小童があろう。――怪しげなことをしておるぞ。何をしてるのか、すぐ見てこい」

「え? ……どこでございますか」七郎とよばれた郎党は、少年の指さす先をきょろきょろ見まわした。

「見えぬのか、眼がないのか。呆痴た奴のう。……あそこの、梅か、杏か、白い花のさいておる樹の下に」

「わかりました」

「見えたか」

「なるほど、童がおります」

「さっきから、ああやって、じっと、うずくまったままだぞ。怪っ態なやつ。何しているのか、見とどけてこい」

「はいっ」七郎は、駈けて行った。