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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
また、叡山を去って、吉水の念仏門に身を投じ、自力難行から他力易行へ転向して、その折も、ごうごうと世上の輿論に渦まかれた人でもある。
以前には、綽空といい、結婚して後、善信と名を改めたという風評も田舎で耳にしたことがある。
「もしや……かの綽空なら」心蓮は、急に、自分もじっとしていられない気持になり、そして胸噪ぎに駆らるるまま、どこというあてもなく、叡福寺の人々と共に探し歩いた。
「そうだ」彼は、山門を出て、街道のほうへ走ってみた。さっき、山伏はこの道の方へ刃をさげて走ったのだ。――綽空が難を避けて行ったとすれば、この道にちがいない。
だがもうその山伏の影も見えないし、黒犬の声も聞えなかった。心蓮は、霜をふくむ風の中に、ただうろうろと立ち迷っていた。
寺へもどっても、この騒ぎに――また、自分と同じ師を持つ同門の者の不安をよそに、楽々と、眠るわけにはゆかない気がする。心蓮は、背中を風に押されながら、風の行く方へただ歩みつづけた。
すると、どこからともなく、誦経の声が聞えた。耳のせいかとも思ったが、そうでもない。
「? ……」風に顔を反向けて振向いた。
水車小屋がある。