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しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

四郎は、そういう人々を見まわして、

「何がいったい面白くて? ――」と、不思議な顔をした。

そのうちに、彼は眠くなってしまった。南縁の猫のように、眼を細め、涎をながして、こくりこくり居眠り始めた。

七

時々、はっと、自分の居眠りに気づいて、四郎は赤い眼をあいた。そして、さすがに少し間のわるい顔をしながら、まわりの聴衆を見まわした。

だが、聴衆は、水を打ったように静かな空気を守りつづけ、眼も、耳も、全身をもって、法話の壇のほうへ向けていた。一人として、そこに居眠っている四郎の様子などに気を散らしている者はない。

「ホ? ……」仏教の話などには、何の感興も持たないはずの四郎が、その時、やや眸をあらためて、前の者の肩越しに、壇のほうへ、大きな眼をみはった。

「善信だ……」思わずつぶやいたので、そばの者が、ふと彼の顔を見た。

四郎は、下を向いた。てれ隠しに顔を撫でる。

――聞くともなく、善信の声が耳へ流れこんでくる。覚えのある声だ。

(しばらくぶりだな)と、思う。

壇の上に立って、岡崎の善信は今、低い音吐のうちに何か力強いものを打ちこめて、諄々と、人々と、人々のたましいへ自己のたましいから言葉を吐いているのだった。