輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁

青空文庫

振向いてみると、今、自分が立っていた堤の上に、一つの人影が見え、手をあげて招いているのだった。

「ア。……四郎か?」と思ったが、それにしては姿がちがっている。どうやら自分を呼んでいるその男は、黒い法衣を着た僧らしいのである。

十二

――誰だろう? 弁円がいぶかりながら元の道へ足をもどして行くと、遠くから呼びとめた僧体の男も、彼方から歩み出して、お互いに距離をちぢめた。

そして、双方の顔がわかる程度まで近づくと、

「あっ?」弁円は大げさに叫んだ。

いや、驚くのが当りまえで、彼があっといったのも、あながち誇張ではない。

「――四郎じゃないかっ」駈け出して、その僧体の男の前に立ち、もいちど、呆れ返ったように眼をみはった。

天城四郎はきれいに頭を剃っていた。見るからに剽悍なあの野武士ていの姿はどこにもない。この寒空にうすい墨の法衣一枚なのだ。そして、惨忍にかがやいていた眼も、酷悪に尖っていた鼻ばしらや顎骨も、どことなく和んでしまって、つい先ごろここで、

(よしっ、待っていろ)と、悪業へ勇み立って行ったあの大盗らしい面影もないのである。弁円はあまりのことに、

「うむむ……」