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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
観念が起って参るに過ぎません。自分という我執もそこからわいてくるしの……」
七
山吹は聞き入っていた。あたたかい砂丘の陽なたは、彼女の寒々と硬ばっていた暗い顔を、やや明るくしてきた。
「……では、上人様、わたくしはあなた様に、どんなことを申しあげても、あなた様は、自分のことのように聞いてくださいますか」すると親鸞はむしろ待っていたように、
「オオ、なんなと話されい」
「ありがとうございます、わたくしには、この胸にいっぱいな苦しみを、話す人さえこの世にないのでございました。――さびしい世の中、あるのは皆、私を呪う邪智の鬼や、羅刹ばかり……。それゆえ、死のうと思い決めたのでした」
「死ぬ……それはいつでもできることじゃ、まあ、その理をいうてみなされ」
「醜い――恥かしい――それはもう上人様のまえで申すも面映ゆいことでござりますが、実は」と、山吹は、坐っている海砂をまさぐりながら――
「わたくしは元、京都の六条で、白拍子をしておりました。そのころこの国府の代官萩原年景によばれ越路へ来ぬか、国府の館へ来れば身の妻として、終生安穏に暮らさせてやろうにと、ことば甘くいわれましたので、後前の考えもなく年景について参りました。