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しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
と、睨めつけて、跫音あらく、女たちの前を踏んで通ってみせた。
「これっ、おいっ」
「はい……」側女の一人が答えると、
「おまえなど呼んだのじゃない。源次、源次」と、家来を縁先へよんで、
「きょうはすこし頭のぐあいがわるい。役所のほうの仕事は、いいつけておいたように、ほかの者と片づけてくれ。いいか、わしはここですこし休んでおるからな」
「はい」と、家来が行きかけると、
「おいおい、奥へはそういうなよ。役所におるようにいうておけよ」ごろりと、年景は、大きな体を部屋のまん中に横たえた。焦々とした眼を、開いたりふさいだりしているのだった。さすが、愉快ではないらしい、どこかで、自分を責めたり、また惑ったり怒ったりするものが、顔の皮膚をどす黒く濁していた。
「酒を持ってこないか。おいっ……酒を」と、呶鳴って、額へ手をあてた。――奥の棟にいる妻だの子だのが、げらげらどこかで笑っているような声がする。むっくりと、彼は起き上った。
「これ、誰か、山吹をさがしに行っておるのか?」
三
側女たちは顔を見あわせた。誰も黙りこんだまま答えずにいると、年景の額に、青筋が膨れあがった。
「だまっているところを見ると、誰も、彼女の身を案じて、見に行った者はないのだな。