輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《親鸞(しんらん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 頁
「面を上げい」泥土によごれた革足袋が、曲者の肩を蹴った。曲者は横に倒れたが、すぐに坐り直して、剛毅な態度をとった。しかし俯向いたきりで、顔を見せないのである。
蔵人は、廂の下にかたまった自分の供人と、この家の召使たちを眺めて、
「こやつは、館の者でござるか」
「いえ、当家には、かような者はおりませぬ」と、中にまじっていた箭四郎が答えた。
「すると、外から忍び入ってきたものじゃな」
「察するところ、お後を尾行てきて、なお、去りやらず、築地を越えて入りこんだものと思われます」
「立ち聞きしていたか」
「されば、ちょうど、お客間の窓の下あたりに佇んで――」
「うぬっ」蔵人は、憎そうに、睨めつけて、
「さては平家の諜者じゃ。右衛門尉、打ちすえて、口をお開かせなされ」
「諜者か、おのれは」右衛門尉は、曲者の耳を引っ張っていった。痛さに顔をしかめた曲者の顔が斜めに長く伸びた。その顔には誰も見覚えがなかったが、りりしい身支度や度胸をすえこんでいる態度を見ると、決して雑人や凡下の輩ではない。平家のうちでも、相当な家の郎党にちがいなかった。
「おのれ、誰にたのまれたっ。いえっ、いわぬかっ――」