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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
洩れてはならない――そう考えたから一応冷淡に聞いていたのだ」
「なんだ、それなら、尊兄もわしの言葉を信じ、かねての計画へ乗りだす肚を固めてくれたのか」
「おぬしの言葉よりも、実は、相手が楼桑村の劉備どのと聞いたので、即座に心はきめていたのだ。かねがね、わしの村まで孝子という噂の聞えている劉備どの、それによそながら、ご素姓や平常のことなども、ひそかに調べていたので」
「人が悪いな。どうも尊兄は、智謀を弄すので、交際いにくいよ」
「ははは。貴様から交際いにくいといわれようとは思わなかった。人を殺し、酒屋を飲みたおし、その尻尾は童学草舎へ持って行けなどという乱暴者から、そういわれてはたまらない」
「もう行ったか」
「酒屋の勘定ぐらいならよいが、官の捕手を殺したのは、雲長の義弟だと分ったひには、童学草舎へも子供を通わせる親はあるまい。いずれ官からこの雲長へも、やかましく出頭を命じてくるにきまっている」
「なるほど」
「他人事のように聞くな」
「いや、済まん」
「しかし、これはむしろ、よい機だ。天意の命じるものである。こう考えたから、今朝、召使いや女どもへ、みな暇を出した上、通学してくる子供たちの親も呼んで、都合によって学舎を閉鎖するといい渡し、心おきなく、身一つになって、かくは貴様の後を追って来たわけだ。