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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

天

一

――彼は単純な感激家です。きっと、感涙をながして、太師のためには、死をも誓うにちがいありません」

と、いった。

すると董卓は、色を変じて、

「たわけたことを申せ。――李儒っ、そちは自分の妻を呂布にやるかっ」

李儒は、案に相違して、唖然としてしまった。

董卓は早くも車駕を命じ、珠簾の宝台に貂蝉を抱き乗せ、扈従の兵馬一万に前後を守らせ、塢の仙境をさして、揺々と発してしまった。

天

一

董太師、塢へ還る。――と聞えたので、長安の大道は、拝跪する市民と、それを送る朝野の貴人で埋まっていた。

呂布は、家にあったが、

「はてな?」

窓を排して、街の空をながめていた。

「今日は、日も吉いから、貂蝉を送ろうと、李儒は云ったが?」

車駕の轣音や馬蹄のひびきが街に聞える、巷のうわさは嘘とも思えない。

「おいっ、馬を出せっ、馬を」

呂布は、厩へ馳け出して呶鳴った。

飛びのるが早いか、武士も連れず、ただ一人、長安のはずれまで鞭打った。そこらはもう郊外に近かったが、すでに太師の通過と聞えたので、菜園の媼も、畑の百姓も、往来の物売りや旅芸人などまで、すべて路傍に草の如く伏していた。

呂布は、丘のすそに、駒を停めて、大樹の陰にかくれてたたずんでいた。