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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

二

折から、君を見たので、その志を叩きにきたわけだが」

意味ありげな言葉に、曹操も初めの態度を改めて、「然らばいおう」と、檻車の中に坐りなおした。

二

曹操は、口を開いた。

「なるほど董卓は、貴公のいわれたようにこの曹操を愛していたに違いない。――しかしそれがしは、遠く相国曹参が末孫にて、四百年来、漢室の禄をいただいて来た。なんで成上がり者の暴賊董卓ごときに、身を屈すべきや」

と語気、熱をおびてきて――

「如かず国のため、賊を刺し殺して、祖先の恩を報ずべしと、董卓の命を狙ったが、天運いまだ我に非ず――こうして捕われの身となってしまった。なんぞ今さら、悔いることがあろうか」

白面細眼、自若としてそういう容子、さすがに名門の血すじを引いているだけに、争いがたい落着きがあった。

「…………」

黙然――ややしばらくの間、檻車の外にあってその態を見ていた関門兵の隊長は、

「お待ちなさい」

いうかと思うと、檻車の鉄錠をはずして、扉を開き、驚く彼を中から引きだして、

「曹操どの、貴君はどこへ行こうとしてこの関門へかかったのですか」

「故郷――」

曹操は、茫とした面持で、隊長の行為を怪しみながら答えた。