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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

五

「そうだ。……天子をこっちへ」

と、気づいて、いちはやく龍座へせまって、天子と皇后を無理無態に輦へうつし、謀臣の賈、武将左霊のふたりを監視につけ、泣きさけび、追い慕う内侍や宮内官などに眼もくれず、後宰門から乱箭の巷へと、がらがら曳きだして行った。

五

「李司馬の甥が、天子を御輦にのせて、どこかへ誘拐して行きます」

部下の急報を聞いて、郭は非常に狼狽した。

「ああ、抜かった。天子を奪われては、一大事だ。それっ、やるな!」

にわかに、後宰門外へ、兵を走らせたが、もう間にあわなかった。

奔馬と狂兵にひかれてゆく龍車は、黄塵をあげて、塢街道のほうへ急いでいた。

「あれだあれだ」

郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)の兵は、騒ぎながら、ワラワラと追矢を射かけた。しかし、敵の殿軍に射返されて、却っておびただしい負傷者を求めてしまった。

「出し抜かれたか。くそいまいましいことではある」

郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)は、自分の不覚の鬱憤ばらしに兵を率いて、禁闕へ侵入し、日頃気にくわない朝臣を斬り殺したり、また、後宮の美姫や女官を捕虜として、自分の陣地へ引っ立てた。