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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
蛍の彷徨い
一
青鎮門外ではわいわいと騒がしい声が起っていた。なにかしら宮門の中におかしな空気を感じだしたものとみえ、
「何将軍はまだ退出になりませんか」
「将軍に急用ができましたから、早くお車に召されたいと告げて下さい」
などと喚いて動揺しているのであった。
すると、城門の墻壁の上から、武装の宮兵が一名首を出して、
「やかましいッ。鎮まれ。汝らの主人何進は、謀叛のかどによって査問に付せられ、ただ今、かくの如く罪に服して処置は終った。これを車にのせて立帰れっ」
なにか蹴鞠ほどな黒い物がそこからほうられてきたので、外にいた面々は、急いで拾い上げてみると、唇を噛んだ蒼い何進の生首であった。
蛍の彷徨い
一
何進の幕将で中軍の校尉袁紹は、何進の首を抱いて、
「おのれ」と、青鎖門を睨んだ。
同じ何進の部下、呉匡も、
「おぼえていろ」と、怒髪を逆だて、宮門に火を放つと五百の精兵を駆って、なだれこんだ。
「十常侍をみなごろしにしろ」
「宦官どもを焼きつくせ」
華麗な宮殿は、たちまち土足の暴兵に占領された。炎と、黒煙と、悲鳴と矢うなりの旋風であった。
「汝もかっ」
「おのれもかっ」
宦官と見た者は、見つかり次第に殺された。