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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

四

といったような意味を伝え、その反響いかにと待っていたところ、やがて諸国から続々と、

「上洛参会」

とか、或いは、

「提兵援助」

などという答文をたずさえた使者が日夜早馬で先触れして来て、彼の館門を叩いた。

「西涼の董卓も、兵をさげてやって来るようですが」

――御史の鄭泰なる者が、何進の前に来て云った。

「檄文は、董卓へもお出しになったんですか?」

「む。……出した」

「彼は、豺狼のような男だとよく人はいいます。京師へ豺狼を引入れたら人を喰いちらしはしませんかな」

鄭泰が憂えると、

「わしも同感だ」

と、室の一隅で、参謀の幕将たちと、一面の地形図をひらいていた一老将が、歩を何進のほうへ移してきながら云った。

見ると、中郎将盧植である。

彼は黄匪討伐の征野から讒せられて、檻車で都へ送られ、一度は軍の裁廷で罪を宣せられたが、後、彼を陥し入れた左豊の失脚とともに、免されて再び中郎将の原職に復していたのである。

「おそらく董卓は、檄文を見て時こそ来れりとよろこんだに違いない。政廟の革正をよろこぶのでなく、乱をよろこび、自己の野望を乗ずべき時としてです。――わしも董卓の人物はよく知っておるが、あんな漢をもし禁廷に入れたら、どんな禍患を生じるやも計り知れん」