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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

二

と驚嘆して、

「こんな贈り物を受けても、おれはなにも酬いるものがないが」

と、陣中ながら酒宴をもうけて歓待に努める容子は、心の底からよろこんでいるふうだった。

酒、たけなわの頃を計って、

「だが呂布君。折角、君に贈った馬だが、赤兎馬のことは、足下の父がよく知っておるから、必ず君の手からとり上げてしまうだろう。それが残念だな」

李粛がいうと、

「は……何をいうのか、君はだいぶ酔ってきたな」

「どうして」

「吾輩の父は、もう世を去ってこの世に亡い人じゃないか。なんでおれの馬を奪おう」

「いやいや。わしのいうのは足下の実父ではない。養父の丁原のことだ」

「あ。養父のことか」

「思えば、足下ほどな武勇才略を備えながら、墻の内の羊みたいに飼われているのは、実に惜しいものだ」

「けれど、父亡き後、久しく丁原の邸に養われてきた身だから、今さら、どうにもならん」

「ならん? ……そうかなあ」

「おれだって、若いし、大いに雄才を伸ばしてみたい気もするが」

「そこだ、呂布君。良禽は木を選んで棲むという。日月は遷りやすし。空しく青春の時を過すのは愚かではないか」

「む、む。……では李君。貴公のみるところでは、今の朝臣の中で、英雄とゆるしてよい人は、一体誰だと思うか」