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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

二

と忠言を吐いた。

見るとそれは、典軍の校尉曹操であった。何進の眼から見ればまことに微々たる一将校でしかない。何進は苦い顔して、

「だまれっ。貴様のような若輩の一武人に、朝廷の内事が分ってたまるものか、ひかえろ」

と、一言に叱りつけた。

ために、座中白け渡って見えた時、折も折、霊帝がたった今崩御されたという報らせが入った。

二

何進は、その報らせを手にすると、会議の席へ戻ってきて、諸大臣以下一同に向い、

「ただ今、重大なる報らせがあったが、まだ公の発表ではないから、そのつもりで聞いて欲しい」と、前提し、厳粛なる口調で、次のように述べた。

「天子、ご不例久しきにわたっておったが、今日ついに、嘉徳殿において、崩御あそばされた」

「…………」

何進がそういい終っても、ややしばらくの間、会議の席は寂として、声を発する者もなかった。

諸大臣の面上には、はっとしたような色が流れた。予期していたことながら、

――どうなることか?

と、この先の政治的な変動やら一身の去就に、暗澹たる動揺がかくしきれなかった。

しかも場合が場合である。

何進が、十常侍をみな殺しにせんと息まいてこの席に計り、十常侍らは、何進を謀って、亡き者にしようと、暗躍しているという折も折であった。