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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

三

「寺がある。山寺の門が」

「あれへ逃げこめ」

馬も車も人も雨に打ち叩かれながら山門の陰へ隠れこんだ。

そのうちに、日が暮れてきたので、

「こよいはこの寺へ泊るから、本堂を貸してくれと、寺僧へ掛合って来い」

と、張は兵卒へ命じた。

彼は日頃、部下にも気うけのよくない男と見え、濡れ鼠となった兵隊は皆何か不平にみちた顔をしていた。

三

冷たい秋の雨は、蕭条と夜中までつづいていた。

暗い廊に眠っていた張※(「門<豈」、第3水準1-93-55)は、何思ったか、むっくりと起きて、兵の伍長を、人気のない所へ呼びだしてささやいた。

「宵から、兵隊たちが皆、不平顔をしているじゃないか」

「仕方がありません。なにしろ日頃の手当は薄いし、こんなつまらぬ役をいいつかって、※(「亠/兌」、第3水準1-14-50)州まであんな老いぼれを護送して行っても、なんの手功にもならないことは知れていますからね」

伍長は、嘯いて云った。叱るのかと思うと、張※(「門<豈」、第3水準1-93-55)は、

「いや、もっともだ、無理はない」と、むしろ煽動して、

「なにしろ、俺たちは、もともと黄巾賊の仲間にいて、自由自在に、気ままな生活をしていたんだからな。