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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

三

陳宮は、馬をひきだして、先に立った。

夜もまだ明けないうちに、二人はまた、その東郡をも後にすてて、ひた急ぎに、落ちて行った。

それから三日目――

日夜わかたず駆け通してきた二人は、成皐(河南省・陽附近)のあたりをさまよっていた。

「今日も暮れましたなあ」

「もうこの辺までくれば大丈夫だ。……だが、今日の夕陽は、いやに黄いろッぽいじゃないか」

「また、蒙古風ですよ」

「あ、胡北の沙風か」

「どこへ宿りましょう」

「部落が見えるが、この辺はなんという所だろう」

「先ほどの山道に、成皐路という道標が見えましたが」

「あ。それなら今夜は、訪ねて行くよい家があるよ」

と、曹操は明るい眉をして、馬上から行く手の林を指さした。

三

「ほ、こんな辺鄙の地に、どういうお知合がいるのですか」

「父の友人だよ。呂伯奢という者で、父とは兄弟のような交わりのあった人だ」

「それは好都合ですな」

「今夜はそこを訪れて一宿を頼もう」

語りながら、曹操と陳宮の二人は、林の中へ駒を乗り入れ、やがてその駒を樹につないで、尋ね当てた呂伯奢の門をたたいた。

主の呂伯奢は驚いて、不意の客を迎え入れ、

「誰かと思ったら、曹家のご子息じゃないか」