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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
四
董卓は、そう云いつのって、どうしても、呂布を斬れと命じたが、李儒は、
「不策です。いけません」
頑として、彼らしい理性を、変えなかった。
「太師のお怒りは、自己のお怒りに過ぎませんが、てまえがお諫め申すのは、社稷のためです。――昔、こういう話があります」
と、李儒は、例をひいて、語りだした。
それは、楚国の荘王のことであるが、或る折、荘王が楚城のうちに、盛宴をひらいて、武功の諸将をねぎらった。
すると――宴半ばにして、にわかに涼風が渡って、満座の燈火がみな消えた。
荘王、
(はや、燭をともせ)と、近習へうながし、座中の諸将は、かえって、
(これも涼しい)と、興ありげにさわいでいた。
――と、その中へ、特に、諸将をもてなすために、酌にはべらせておいた荘王の寵姫へ、誰か、武将のひとりが戯れてその唇を盗んだ。
寵姫は、叫ぼうとしたが、じっとこらえて、その武将の冠の纓をいきなりむしりとって、荘王の側へ逃げて行った。
そして、荘王の膝へ、泣き声をふるわせて、
「この中で今、誰やら、暗闇になったのを幸いに、妾へみだらに戯れたご家来があります。はやく燭をともして、その武将を縛めてください。