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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
五
そしてなお、士気を鼓舞するために、すべての兵が山巓の一端へ登りきると、そこで玄徳と関羽は、おごそかなる破邪攘魔の祈祷を天地へ向って捧げるの儀式を行った。
五
敵を前にしながら、わざとそんな所で、おごそかな祈祷の儀式などしたのは、玄徳直属の義軍の中にも、張宝の幻術を内心怖れている兵がたくさんいるらしく見えたからであった。
式が終ると、
「見よ」
玄徳は空を指していった。
「きょうの一天には、風魔もない、迅雷もない、すでに、破邪の祈祷で、張宝の幻術は通力を失ったのだ」
兵は答えるに、万雷のような喊声をもってした。
関羽と張飛は、それと共に、
「それ、魔軍の砦を踏みつぶせ」
と軍を二手にわけて、峰づたいに張宝の本拠へ攻めよせた。
地公将軍の旗幟を立てて、賊将の張宝は、例によって、鉄門峡の寄手を悩ましにでかけていた。
すると、思わざる山中に、突然鬨の声があがった。彼は、味方を振返って、
「裏切り者が出たか」と、訊ねた。
実際、そう考えたのは、彼だけではなかった。裏切り者裏切り者という声が、何処ともなく伝わった。
張宝は、
「不埓な奴、何者か、成敗してくれん」
と、そこの守りを、賊の一将にいいつけて、自身、わずかの部下を連れて、山谷の奥にある――ちょうど螺の穴のような渓谷を、驢に鞭打って帰ってきた。