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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
三
「……しまった!」
呂布は呻いた。
茫然と、火光の空を、眺めたまましばらく自失していた。
やんぬる哉。さすがの呂布も、今はいかんともする術もなかった。手も足も出ない形とはなった。
「そうだ、ひとまず、袁術の許へ身を寄せて後図を計ろう」
そう考えて、軍を解き、わずか百余騎だけを残し、にわかに道をかえて、夜と共に悄然と落ちて行った。
前には、恋の貂蝉を亡い、今また争覇の地を失って、呂布のうしろ影には、いつもの凜々たる勇姿もなかった。
好漢惜しむらくは思慮が足らない。また、道徳に欠けるところが多い。――天はこの稀世の勇猛児の末路を、そも、何処に運ぼうとするのであろうか。
三
騒乱の物音が遠くする。
夜も陰々と。
昼間も轟々と。
宮中の奥ふかき所――献帝はじいっと蒼ざめた顔をしておられた。
長安街上に躍る火の魔、血の魔がそのお眸には見えるような心地であられたろう。
「皇宮の危機が迫りました」
侍従が云って来た。
しばらくするとまた、
「西涼軍が、潮のごとく、禁門の下へ押して参りました」と、侍臣が奏上した。
――こんどは朝廷へ襲ってくるな、とはや、観念されたように、献帝は眼をふさいだまま、