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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

二

まず彼は、近郷の壮丁を狩り集め、白い二旒の旗を作って、一旒には「義」と大書し、一旒には「忠」と大きく書いて、

「われこそ、朝廷から密詔をうけて、この地に降った者である」

と唱えだした。

二

今でこそ、地方の一郷士に落ちぶれているが、なんといっても、曹家は名門である。嫡子の曹操もまた出色の才人と、遠近に聞えている。

「密勅をうけて降ったものである――」

という曹操の声に、まず近村の壮丁や不遇な郷士が動かされた。

「陳宮、こんな雑兵じゃ仕方がないが、もっと有力な諸州の刺史、太守などが集まるだろうか」

時々、彼は陳宮へ計った。

陳宮は献策した。

「忠義を旗に書いて待っているだけでは駄目です。もっと憂国の至情を吐露なさい。鉄血、人を動かすものをぶっつけなさい」

「どうしたらいいか」

「檄を飛ばすことです」

「おまえ、書いてくれ」

「はい」

陳宮は、檄文を書いた。

彼は、心の底から国を憂えている真の志士である。その文は、読む者をして奮起せしめずにおかないものであった。

「――ああ名文だ。これを読めば、おれでも兵を引っさげて馳せ参ずるな」

曹操は感心して、すぐ檄を諸州諸郡へ飛ばした。