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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

四

その酷たらしさを聞いて哭かずにいられなかった。

「徐州を討て」

即日、大軍動員の令は発せられた。軍の上には報讐雪恨と書いた旗がひるがえった。

四

復讐の大軍を催して、曹操が徐州へ攻進するという噂が諸州へ聞えわたった前後、

「ぜひ会わせて下さい」と、曹操を陣門に訪ねて来た者があった。

それは陳宮であった。

陳宮は、かつて曹操が、都から落ちて来る途中、共に心肚を吐いて、将来を盟い合ったが、やがて曹操の性行を知って、

(この人は、王道に拠って、真に国を憂うる英雄ではない。むしろ国乱をして、いよいよ禍乱へ追い込む覇道の姦雄だ)と怖れをなして、途中の旅籠から彼を見限り、彼を棄てて行方をくらましてしまった旧知であった。

「君は今、何しているか」

曹操に訊かれると、陳宮は、すこし間が悪そうに、

「東郡の従事という小役人を勤めています」と、答えた。

すると曹操は、皮肉な笑みをたたえながら、早くも相手の来意を読んでいた。

「じゃあ、徐州の陶謙とは親しい間がらとみえるね。たぶん君は、その知己のために、予をなだめに来たのだろうが、おそらく君の懇願も、この曹操の恨みと憤りを解くのは不可能だと思う。