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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

二

そのうちにまた、村長の家から、花梨の立派な卓と椅子がかつがれてきた。

「大饗宴だな」

張飛は、子どものように、歓喜した。

準備ができると、手伝いの者は皆、母屋へ退がってしまった。

三名は、

「では」

と、眼を見合せて、祭壇の前の蓆へ坐った。そして天地の神へ、

「われらの大望を成就させ給え」

と、祈念しかけると、関羽が、

「ご両所。少し待ってくれ」

と、なにか改まっていった。

二

「ここの祭壇の前に坐ると同時に、自分はふと、こんな考えを呼び起されたが、両公の所存はどんなものだろうか」

関羽は、そう云いだして、劉備と張飛へ、こう相談した。

すべて物事は、体を基とする。体形を整えていないことに成功はあり得ない。

偶然、自分たち三人は、その精神において、合致を見、きょうを出発として大事をなそうとするものであるが、三つの者が寄り合っただけでは、体をなしていない。

今は、小なる三人ではあるが、理想は遠大である。三体一心の体を整えおくべきではあるまいか。

事の中途で、仲間割れなど、よくある例である。そういう結果へ到達させてはならない。神のみ祷り、神のみ祀っても、人事を尽さずして、大望の成就はあり得べくもあるまい。