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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

五

「そうです、大人がたのお名前と、義挙の趣旨に賛同して、旗下に馳せ参じてきた者どもです」

壮士らは異口同音にいった。

「そうか、どれを見ても、たのもしい面魂、早速、われわれの旗挙げに、加盟をゆるすが、しかしわれらの志は、黄巾賊の輩の如く、野盗掠奪を旨とするのとは違うぞ。天下の塗炭を救い、害賊を討ち、国土に即した公権を確立し、やがては永遠の平和と民福を計るにある。分っておるかそこのところは!」

張飛は、一場の訓示を垂れて、それからまた、次のように誓わせた。

五

「われわれの旗下に加盟するからには、即ち、われわれの奉じる軍律に服さねばならん。今、それを読み聞かすゆえ、謹んで承れ」

張飛は、志願してきた壮士たちへいって、うやうやしく、懐中から一通を取出して、声高く読んだ。

一 卒たる者は、将たる者に、絶大の服従と礼節を守る。

一 目前の利に惑わず、大志を遠大に備う。

一 一身を浅く思い、一世を深く思う。

一 掠奪断首。

一 虐民極刑。

一 軍紀を紊る行為一切死罪。

「わかったかっ」

あまり厳粛なので、壮士たちも、しばらく黙っていたが、やがて、

「分りました」と、異口同音にいった。