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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
、第3水準1-87-83)などは珍しくない顔つきをして見ていたが、
「よろしい。おまえさんの孝心に免じて、茶と交易してやろう」
と、やがて船室の中から、錫の小さい壺を一つ持ってきて、劉備に与えた。
黄河は暗くなりかけていた。西南方に、妖猫の眼みたいな大きな星がまたたいていた。その星の光をよく見ていると虹色の暈がぼっとさしていた。
――世の中がいよいよ乱れる凶兆だ。
と、近頃しきりと、世間の者が怖がっている星である。
「ありがとうございました」
劉備青年は、錫の小壺を、両掌に持って、やがて岸を離れてゆく船の影を拝んでいた。もう瞼に、母のよろこぶ顔がちらちらする。
しかし、ここから故郷の県楼桑村までは、百里の余もあった。幾夜の泊りを重ねなければ帰れないのである。
「今夜は寝て――」と、考えた。
彼方を見ると、水村の灯が二つ三つまたたいている。彼は村の木賃へ眠った。
すると夜半頃。
木賃の亭主が、あわただしく起しにきた。眼をさますと、戸外は真っ赤だった。むうっと蒸されるような熱さの中にどこかでパチパチと、火の燃える物音もする。
「あっ、火事ですか」
「黄巾賊がやってきたのですよ旦那、洛陽船と交易した仲買人たちが、今夜ここに泊ったのを狙って――」