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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
「やあ長兄。罪もなき恩師が、獄府へ引かれて行くのを、このまま見過すという法があろうか。今のはなしを聞くにつけ、また先頃からの鬱憤もかさんでおる。もはや張飛の堪忍の緒はきれた。――守護の官兵どもを、みなごろしにして、檻車を奪い盧植様をお助けしようではないか」
と、大声でいい放ち、一方の関羽をかえりみて、
「兄貴、どうだ」と、相談した。
耳こすりや、眼まぜでしめし合わすのではない。天地へ向って呶鳴るのである。いくら背中を向けて見ぬ振りをしている官兵でも、それには総立ちになって、色めかざるをえない。しかし、張飛の眼中には、蠅が舞いだした程にもなく、
「なにを黙っておるのか。長兄らは、官兵が怖いのか。義を見て為さざるは勇なきなり。よしっ、それでは、俺ひとりでやる。なんの、こんな虫籠のような檻車一つ」
いきなり張飛は、その鉄格子に手をかけて、猛虎のように、ゆすぶりだした。
いつもあまり大きな声を出さないし、めったに顔いろを変えない玄徳が、それを見ると、
「張飛! 何をするかッ」と、大喝して、「かりそめにも、朝命の科人へ、汝、一野夫の身として、何をなさんとするか。