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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

「おい、甘洪」と、馬元義は手下の甘洪が、まだ危ぶんでいる様子に、顎で大きくいった。

「そいつを、もっと前へ引きずってこい――そうだ俺の前へ」

劉備は、襟がみを持たれたまま、馬元義の足もとへ引き据えられた。

「やい、百姓」

馬はねめつけて、

「汝は今、孔子廟へ向って、大それた誓願を立てていたが、一体うぬは、正気か狂人か」

「はい」

「はいではすまねえ。黄魔鬼畜を討ってどうとかぬかしていたが、黄魔とは、誰のことだ、鬼畜とは、何をさしていったのだ」

「べつに意味はありません」

「意味のないことを独りでいうたわけがあるか」

「あまり山道が淋しいので、怖ろしさをまぎらすために出たらめに、声を放って歩いてきたものですから」

「相違ないか」

「はい」

「――で、何処まで行くのだ。この真夜中に」

「県まで帰ります」

「じゃあまだ道は遠いな。俺たちも夜が明けたら、北のほうの町まで行くが、てめえのために眼をさましてしまった。もう二度寝もできまい。ちょうど荷物があって困っていた所だから、俺の荷をかついで、供をしてこい――おい、甘洪」

「へい」

「荷物はこいつにかつがせて、汝は俺の半月槍を持て」

「もう出かけるんですか」