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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
と、もう贅沢をいう。
玄徳はいんぎんに、
「何分」
と、しばらくの逗留を頼み、関羽も姓名や郷地を名乗って、将来の高誼を仰いだ。
劉大人は、いかにも大人らしい寡言な人で、やがて召使いをよび、三名の部屋として、この南苑の客館を提供し、何かの事などいいつけ、ほどなく奥へかくれてしまった。
「どうです、落着くでしょう」
張飛は手がら顔にいう。
「落着きすぎるくらいだ」と、関羽は笑って、
「ぼろを出さぬようにしてくれよ」
と、暗に張飛の酒ぐせをたしなめた。
年を越えた。春になった。
五台山下の部落は、まことに平和なものだった。ここには、劉恢が土豪として、村長の役目をも兼ねているせいか、悪吏も棲まず、匪賊の害もなかった。
しかし、張飛や関羽は、その余りにも無事なのにむしろ苦しんだ。酒にも平和にも倦んだ。
それとは違って、玄徳は近ごろひどく無口であった。常に物思わしいふうが見える。
「長兄も、この頃はようやく、ふたたび戦野が恋しくなってきているのではないかな。風雲児、とみに元気がないが」
ある時、関羽がいうと、
「いやいや、戦野が恋しいのじゃないさ」
と張飛は首を振った。