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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

「劉恢は、あれでとても、厳格な人ですからね。……食客や豪傑たちには、やさしい温情を示す人ですけれど、家庭の者には、おそろしくやかましい人なんです。……ですから、……、こうして苑へ出てくるにも、ずいぶん苦心して来るんですの」

「そうでしょう。何しろ、われわれのような食客が常に何十人もいるそうですからね。私も、関羽だの張飛だのという腹心の者が、同じ室にいて、眼を光らしているので、彼らにかくれて出てくるのもなかなか容易ではありません」

「なぜでしょうね」

「何がですか」

「そんなにお互いに苦労しながらでも、夜になると、どうしてもここへ出てきたいのは」

「私もそうです。自分の気もちがふしぎでなりません」

「美しい月ですこと」

「夏や秋の冴えた頃よりも、今頃がいいですね。夢みているようで」

梨の花から梨の花の径をさまよって、二人は飽くことを知らぬげであった。夢みようと意識しながら、あえて、夢を追っているふうであった。

五

この家の深窓の佳人と玄徳とが、いつのまにか、春宵の秘語を楽しむ仲になっているのを目撃して、関羽は、非常なおどろきと狼狽をおぼえた。

「ああ、平和は雄志を蝕む」