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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
自己の病は篤い。いつとも知れない命数。
帝は決意すると急がれた。
にわかに、何進の邸へ向って、
「急ぎ、参内せよ」と、勅令があった。
何進は、変に思った。
「はてな。きのう参内したばかりなのに?」
急に帝の病状でも変ったのかと考えて、家臣に探らせてみるとそうでもない。のみならず、十常侍の蹇碩らが、なにか謀っている経緯がうすうす分ったので、
「小癪な輩。そんな策に乗る何進ではない」
と、参内しないかわりに、廟堂の諸大臣を私館へ招いて、
「こういう事実がある。実に怪しからぬ陰謀だ。さなきだに天下みな、十常侍の輩を恨んで、機あらば、彼らの肉を啖わんとまで怨嗟している。おれもこの機会に、宦官どもをみな殺しにしようと思うが、諸公のご意見はどうだ」と、会議の席にはかった。
「…………」
誰も皆、黙ってしまった。ただびっくりした眼ばかりであった。すると、座隅の一席からひとりの白皙の美丈夫が起立して、
「至極けっこうでしょう。しかし十常侍とその与党の勢力というものは、宮中においては、想像のほかと承ります。将軍、威あり実力ありといえども、うっかり手を焼くと、ご自身、滅族の禍いを求めることになりはしませんか」