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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
そも、何の兆しか。
人々が一瞬自失したかのように、暗澹たる危惧の底に沈んで、
――ああ、漢朝四百年の天下も今日から崩れ始める兆しか。
と、いうような予感に襲われたのも、決してむりではない。
しばし、黙祷のうちに、人々は亡き霊帝をめぐる近年の宮廷の浅ましい限りの女人と権謀の争いやら、数々の悪政の頽廃を胸によびかえして、今さらのように、深い嘆息をもらし合った。
× × ×
霊帝は不幸なお方だった。
何も知らなかった。十常侍たちの見せる「偽飾」ばかりを信じられて、世の中の「真実」というものは、何ひとつご存じなく死んでしまわれた。
十常侍の一派にとっては、霊帝は即ち「盲帝」であった。傀儡にすぎなかった。玉座は彼らが暴政をふるい魔術をつかう恰好な壇上であり帳であった。
その悪政を数えたてればきりもないが、まず近年のことでは、黄巾の乱後、恩賞を与えた将軍や勲功者へ、裏からひそかに人をやって、
「公らの軍功を奏上して、公らはそれぞれ莫大な封禄の恩典にあずかりたるに、それを奏した十常侍に、なんの沙汰もせぬのは、非礼ではないか」
などと賄賂のなぞをかけたりした。