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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

と、その鬼才に怖れた。

こんなこともあった。

少年の曹操は、学問など一を聞いて十を知るで、書物などにかじりついている日はちっとも見えない。游猟が好きで弓を持って獣を追ったり、早熟で不良を集めて村娘を誘拐したり、そんなことばかりやっていた。

「困った奴だ」

叔父なる人が、将来を案じて、彼の父へひそかに忠告した。

「あまり可愛がり過ぎるからいけない。親の目には、子の良い才ばかり見えて、奸才は見えないからな」

父の曹嵩も、ちらちら良くないことを耳にしていた折なので、早速曹操を呼びつけて、厳しく叱り、一晩中お談義を聞かせた。

翌る日、叔父がやって来た。

すると曹操は、ふいに門前に卒倒して、癲癇の発作に襲われたみたいな苦悶をした。

仮病とは知らず、正直な叔父は驚きあわてて奥の父親へ告げた。

父の曹嵩も、可愛い曹操のことなので、顔色を変えて飛びだして来た。――ところが曹操は門前に遊んでいて、いつもと何も変わったところは見えない。

「曹操、曹操」

「なんです、お父さん」

「なんともないのか。今、叔父御が駆けこんで来て、お前が癲癇を起してひッくり返っている、大変だぞ、直ぐ行ってみろ、といわれて仰天して見にきたのだが」