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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
「――とすれば、捨ておけん曲者だが。李儒を呼べ。とにかく、李儒を!」
と、急に甲高くいって、巨きな躯を牀からおろした。
李儒は来て、つぶさに仔細を聞くと、
「それは、しまったことをした。豹を檻から出したも同じです。彼の妻子は都の外にありますから、てッきり相国のお命を狙っていたに違いありません」
「憎ッくい奴め。李儒、どうしたものだろう」
「一刻も早く、お召しといって、彼の住居へ人をやってごらんなさい。二心なければ参りましょうが、おそらくもうその家にもおりますまい」
念のためと、直ちに、使い番の兵六、七騎をやってみたが、果たして李儒の言葉どおりであった。
そしてなお、使い番から告げることには――
「つい今しがた、その曹操は、黄毛の駿馬にまたがって、飛ぶが如く東門を乗打ちして行ったので、番兵がまた馬でそれを追いかけ、ようやく城外へ出る関門でとらえて詰問したところ、曹操がいうには――我は丞相の急命を帯びてにわかに使いに立つなり。汝ら、我をはばめて大事の急用を遅滞さすからには、後に董相国よりいかなるお咎めがあらんも知れぬぞ――とのことなので、誰も疑う者なく、曹操はそのまま鞭を上げて関門を越え、行方のほども相知れぬ由にござります」