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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

「もしや貴公は、劉備玄徳どのには非ざるか」

と、訊ねてみると、

「そうです。ご記憶でしたか、自分は劉玄徳です」

との答え。

「おう、さてはやはり――」と、驚いて、

「黄巾の乱後、洛陽の外門でちょっとお会いしたことがあるが、その後、ご辺にはいかなる官職につかれておらるるか」

「お恥かしいことですが、碌々として、何の功も出世もなく、この片田舎の県令をやっていました」

「それはひどい微職だな。貴公のような人物を、こんな片田舎に埋めておくなどとは、もったいないことだ。――してまた、お連れの二人はいかなる人物か」

「これは、自分の義弟たちです」

「ほ、ご令弟か」

「ひとりは関羽、また次にひかえておる者は、張飛と申しまする」

「官職は」

「関羽は馬弓手、張飛は歩弓手。――共にまだ役儀といっては、ほんの卒伍にしか過ぎません」

「いずれも頼もしげなる大丈夫を可惜、田野の卒として、朽ちさせておいたことよな。――よろしい、ご辺らも同じ志ならば、わが軍中に従って、共々お働きあるがよい」

「では、おゆるし下さるか」

「願うてもないことだ」

「必ず逆臣董卓を殺して、朝廟を清めます」

玄徳も、関羽も、恩を謝して誓った。