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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
大地が、ぐわうぐわうと地鳴りしている。
また、血まみれの斥候が一名、堂の階下へ来て、
「だっ、だめですっ」
絶叫してこときれてしまった。
すぐまた、次の二、三騎が、
「味方の中軍は、敵の鉄兵に蹂躙され、ために、四散して、もはやここの備えも、手薄となりました」
「本陣を、至急、ほかへ移さぬと危ないと思われます。包囲されます」
「あれあれ、あの辺りに、もはや敵の先駆が――」
告げ来り、告げ去り、もはやここの本陣も、さながら暴風の中心に立つ一木の如く、枝々みな震い樹葉みなふるえた。
「つげ」
曹操は、部下に酒をつがせ、なお腰をすえていたが、酔うほどに蒼白となった。
「包囲されては」と、早くも、本陣の退却を、ひそひそ議する者さえある。
酒どころか、諸将軍の顔の半分以上は、土気色だった。
万丈の黄塵は天をおおい、山川草木みな血に嘯く。
――時に、突如席を立って、
「云いがいなき味方かな。このうえは、それがしが参って、敵勢をけちらし、味方の頽勢を一気にもり返してお目にかけん」
と、咆ゆるが如くいって、はや剣を鳴らした者がある。
袁紹将軍の寵将で、武勇の誉れ高い兪渉という大将であった。