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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
と、督戦するやら、
「かかれ、かかれっ」
「呂布、何者」
「総がかりして討取れ」
などと、口々には励ましたが、誰あって、生命を捨てに出る者はない。ただ陣中は混乱をきわめ、阿鼻叫喚、奔馬狼兵、ただ濛々の悽気が渦まくばかりであった。
その間に、
「呂布なり、呂布なり。――曹操に会おう。敵将袁紹に見参せん。――曹操は何処にありや」
と、明らかに、呂布の声が聞えたが、袁紹はいち早く雑兵の群れへまぎれこんでいたので、遂に彼の眼に止まらず、呂布の赤兎馬は、暴風のごとく、陣の一角を突破して、さらに、次の敵陣を蹴ちらしにかかった。
それこそは、劉備玄徳の従軍していた公孫の陣地だったのである。
呂布は、直ちに、林立する幡旗を目がけて、
「公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)、出合えっ」
と、猪突して行った。
数十旒の営旗は、風に伏す草の如く、たちまち、赤兎馬に蹴ちらされて、戟は飛び、槍は折れ、鉄弓も鉄鎚も、まるで用をなさなかった。
「おのれ、よくも」
公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)は、歯がみをして、秘蔵の戟を舞わし、近づいて戦わんとしたが、
「いたかっ」
と、赤兎馬を向けて、驀進してくる呂布の眼光を見ると、胆を冷やして、ひと支えもなし得ず、逃げ走ってしまった。