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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
張飛、関羽らの乗っている凡馬とは、ほんとに走るだんになると較べものにはならなかった。
しかし。
呂布が逃げたので、一時はさんざんな態だった味方は、果然、意気を改めた。国々の諸侯は総がかりを号令し、喊の声は大いに奮った。
敵軍は、呂布につづいて、虎牢関へ引き退いたが、その大半は、関門へ逃げ入れないうちに討たれてしまった。
潮のごとく、寄手は関へ迫った。関門の鉄扉かたく閉ざされて敗北のうめきを内にひそめていた。
関羽、張飛は関門のすぐ真下まで来て、踏み破らんと焦ったが、天下の嶮といわれる鉄壁。如何とも手がつけられない。
――時に、ふと。
関上遥けき一天を望むと、錦繍の大旆やら無数の旗幟が、颯々とひるがえっている所に、青羅の傘蓋が揺々と風に従って雲か虹のように見えた。
張飛は、くわっと口をあいて、思わず大声をあげ、
「おうっ、おうっ。――あれに見える者こそまさしく敵の総帥董卓だ。彼奴の姿を目前に見て、空しくおられようか。続けや者ども」
と、真先に、城壁へすがりついて、よじ登ろうとしたが、たちまち櫓の上から巨木岩石が雨の如く落ちてきたので、関羽は、地だんだ踏んで口惜しがる張飛を諫めて、ようやく、そこの下から百歩ほど退かせた。