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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
董卓は、云い捨てて、廟を下り、即座に、車馬千駄の用意を命じて、自分はひとまず宮門から自邸へと輦を急がせた。
すると、その途上を、街路樹の木蔭で待ちうけていたらしい若い武士が二人、
「丞相、しばらくっ」
「しばらくお待ち下さい」
と追いかけてきて、輦の前にひざまずいた。見れば、城門の校尉伍瓊と、尚書の周であった。
「なんだ、汝ら、わが途上をさえぎって」
「無礼なお咎めは、覚悟のまえで申上げにきました」
「覚悟のまえだと。なにをわれに告げようというのか」
「今日、宮中において、遷都のご内定があったかに承りますが」
「内定ではない。決議だ」
「洩れ伺って、われわれ末輩まで、驚倒いたしました。伝統ある都府は、一朝一夕にはできません。いわんや漢室十二代の光輝あるこの土を捨てて」
「蠅めら、何をいう。書生の分際で、朝議の決議に、異議を申したてるなど、もってのほかな奴だ。しかも路傍で――」
「いかほどお怒りをうけましょうとも、天下の為、坐視はできません」
「坐視できぬ。さては敵の廻し者か。生かしておいては、後日の害だ。こやつらの首を刎ねろっ」
云い放って、輦を進めると、二人はなお、忠諫を叫びながら、輦の輪に取りすがった。