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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
しかし、ついに彼岸は、眼のまえに近づいた。
「もうひと息――」と、曹洪は、必死に泳いだ。
対岸の緑草は、ついそこに見えながら、それへ寄りつくまでが容易でなかった。激浪がぶつかっては、渦となって波流を渦巻いているからだった。
すると。
その河畔からやや離れた丘に徐栄の一部隊が小陣地を布いていた。河筋を監視するために、二名の歩哨が立って、暁光の美観に見とれていたが――
「やっ? なんだろ」
一人が指さした。
「怪魚か」
「いや、人間だっ」
あわてて部将のところへ報らせに馳けた。
部将もそれへ来て、
「曹操軍の落武者だ。射てしまえ」と、弩弓手へ号令した。
まさかそれが曹操兄弟とは気づかなかったので、緩慢にも弓組の列を布いて、射術を競わせたものだった。
びゅっん――
ぶうっん――
弦は鳴り矢はうなって、彼方の水ぎわへ、雨かとばかり飛沫を立てた。
曹洪は、すでに岸へ這いついていたが、前後に飛んでくる敵の矢に、しばらく、死んだまねをしていた。
その間に、「どう逃げようか」を、考えていた。
ところがかえって、遥か河上から、一手の軍勢が、河に沿って下って来るのが見えた。