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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
とばかり、趙雲の手勢五百が、地から湧いたように、前後から攻めかかった。
田豊は、防ぐに遑もなく、あまりに迅速な敵の迫力にふるい恐れて、
「太守太守、ここにいては、流れ矢にあたるか、生擒られるか、滅亡をまぬかれません。――あれなる盤河橋の崖の下まで退いて、しばらくお潜みあるがよいでしょう」
袁紹は、後ろを見たが、後ろも敵であった。しかも、敵の矢道は、縦横に飛び交っているので、
「今は」と、絶体絶命を観念したが、いつになく奮然と、着たる鎧を地に脱ぎ捨て、
「大丈夫たるもの、戦場で死ぬのは本望だ。物陰にかくれて流れ矢になどあたったらよい物笑い。なんぞ、この期に、生きるを望まん」と、叫んだ。
身軽となって真っ先に、決死の馬を敵中へ突き進ませ、
「死ねや、者ども」
とばかり力闘したので、田豊もそれに従い、他の士卒もみな獅子奮迅して戦った。
かかるところへ逃げ崩れて来た顔良、文醜の二将が、袁紹と合体して、ここを先途としのぎを削ったので、さしも乱れた大勢を、ふたたび盛り返して、四囲の敵を追い、さらに勢いに乗って、公孫の本陣まで迫って行った。
この日。
両軍の接戦は、実に、一勝一敗、打ちつ打たれつ、死屍は野を埋め、血は大河を赤くするばかりの激戦で、夜明け方から午過ぐる頃まで、いずれが勝ったとも敗れたとも、乱闘混戦を繰返して、