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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
「貂蝉。あのように、今夜の大賓が、求めていらっしゃる。なんぞもう一曲……お聴きしていただくがよい」
「はい」
貂蝉は、素直にうなずいて、檀板を手に――こんどはやや低い調子で――客のすぐ前にあって歌った。
一点ノ桜桃絳唇ヲ啓ク
両行ノ砕玉陽春ヲ噴ク
丁香ノ舌ハ※鋼ノ剣ヲ吐キ
姦邪乱国ノ臣ヲ斬ラント要ス
「いや、おもしろい」
董卓は、手をたたいた。
前に歌った歌詞は自分を讃美していたので、今の歌が自分をさして暗に姦邪乱国の臣としているのも、気づかなかった。
「神仙の仙女とは、実に、この貂蝉のようなのをいうのだろうな。いま、塢城にもあまた佳麗はいるが、貂蝉のようなのはいない。もし貂蝉が一笑したら、長安の粉黛はみな色を消すだろう」
「太師には、そんなにまで、貂蝉がお気に入りましたか」
「む……。予は、真の美人というものを、今夜初めて見たここちがする」
「献じましょう。貂蝉も、太師に愛していただければ、無上の幸せでありましょうから」
「え。この美人を、予に賜わるというのか」
「お帰りの車の内に入れてお連れください。――そういえば、夜も更けましたから、相府のご門前までお送りしましょう」