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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
「あっ……来ました」と、あわてて呂布の胸から飛び離れた。
呂布も、驚いて、
「しまった。……どうしよう」
うろたえている間に、董卓はもう走り寄って来て、
「匹夫っ。白日も懼れず、そんな所で、何しているかっ」
と、怒鳴った。
呂布は、物もいわず、鳳儀亭の朱橋を躍って、岸へ走った。――すれ交いに、董卓は、
「おのれ、どこへ行く」と、彼の戟を引ったくった。
呂布が、その肘を打ったので、董卓は、奪った戟を取り落してしまった。彼は、肥満しているので、身をかがめて拾い取るのも、遅鈍であった。――その間に、呂布はもう五十歩も先へ逃げていた。
「不埓者っ」
董卓は、その巨きな体を前へのめらせながら、喚いて云った。
「待てっ。こらっ。待たぬかっ、匹夫め」
すると、彼方から馳けて来た李儒が、過って出会いがしらに、董卓の胸を突きとばした。
董卓は、樽の如く、地へ転げながら、いよいよ怒って、
「李儒っ、そちまでが、予をささえて、不届きな匹夫を援けるかっ。――不義者をなぜ捕えん」
と、呶号した。
李儒は、急いで、彼の身を扶け起しながら、
「不義者とは、誰のことですか。――今、てまえが後園に人声がするので、何事かと出てみると、呂布が、太師狂乱して、罪もなきそれがしを、お手討になさると追いかけて参るゆえ、何とぞ、助け賜われとのこと、驚いて、馳けつけ