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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

思えばわしはよい子を持った」

曹嵩は、城内にいる間も、息子自慢で暮していた。

事実、ここの太守陶謙はかねてから曹操の盛名を慕って、折あれば曹操と誼みを結びたいと思っていたが、よい機会もなかったのである。――ところへ、曹操の父が一家をあげて、自分の領内を通過して※(「亠/兌」、第3水準1-14-50)州へ引移ると聞いたので、「それはよい機会だ」と、自身出迎えて、一行を城内に泊め、精いっぱいの歓迎を傾けたのであった。

「陶謙は好い人らしいな」

曹操の老父は、彼の人物にふかく感じた。陶謙が温厚な君子であることは、彼のみでなく、誰も認めていた。

恩を謝して、老父の一行は、三日目の朝、徐州を出発した。陶謙は特に、部下の張に五百の兵隊をつけて、「途中、間違いのないよう、お送り申しあげろ」と、いいつけた。

華費という山中まで来ると、変りやすい秋空がにわかにかき曇って、いちめんの暗雲になった。

青白い電光が閃いてきたかと思うと、ぽつ、ぽつと大粒の雨が落ちて来た。木の葉は、山風に捲かれ、峰も谷も霧にかくれて、なんとなく物凄い天候になった。

「通り雨だ。どこか、雨宿りするところはないか」