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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
後からくるいなごは、喰う稲がない。遂には、餓殍と餓殍が噛みあって何万何億か知れない虫の空骸が、一物の青い穂もない地上を悽惨に敷きつめている。
――が、その浅ましい光景は、虫の社会だけではない。やがて人間も噛み合い出した。
「喰う物がない!」
「生きて行かれないっ」
悲痛な流民は、喰う物を追って、東西に移り去った。
糧食とそれを作る百姓を失った軍隊は、もう軍隊としての働きもできなくなってしまった。
軍隊も「食」に奔命しなければならない。しかも山東の国々ではその年、いなごの災厄のため、物価は暴騰に暴騰をたどって、米一斛の価は銭百貫を出しても、なかなか手に入らなかった。
「やんぬる哉」
曹操は、これには、策もなく、手の下しようもなかった。
戦争はおろか、兵が養えないのである。やむなく彼は、陣地を引払って、しばらくは他州にひそみ、衣食の節約を令して、この大飢饉をしのぎ、他日を待つしか方法はあるまいと観念した。
同じように、濮陽の呂布たりといえども、この災害をこうむらずにいるわけはない。
「曹操の軍も、とうとう囲みを解いて、引揚げました」
そう報告を聞いても、
「うむ。