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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

そのうちに、陶謙は、ついに息をひきとってしまった。

徐州は喪を発した。城下の民も城士もみな喪服を着け、哀悼のうちに籠った。そして葬儀が終ると、玄徳は小沛へ帰ったが、すぐ糜竺、陳登などが代表して、彼を訪れ、

「太守が生前の御意であるから、まげても領主として立っていただきたい」

と、再三再四、懇請した。

すると、また、次の日、小沛の役所の門外に、わいわいと一揆のような領民が集まって来た。――何事かと、関羽、張飛を従えて、玄徳が出てみると、何百とも知れない民衆は、彼の姿をそこに見出すと、

「オオ、劉備さまだ」と、一斉に大地へ坐りこんで、声をあわせて訴えた。

「わたくしども百姓は、年々戦争には禍いされ、今年はいなごの災害に見舞われて、もうこの上の望みといったら、よいご領主様がお立ちになって、ご仁政をかけていただくことしかございません。もし、あなた様でなく他のお方が、太守になるようでもあったら、私どもは、闇夜から闇夜を彷徨わなければなりません。首をくくって死ぬ者がたくさん出来るかも知れません」

中には、号泣する者もあった。

その愍れな飢餓の民衆を見るに及んで、劉備もついに意を決した。