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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁

青空文庫

尊公の情誼にふかく感じましたよ。――これというのも、かつて、この徐州が、曹操の大軍に囲まれて危殆に瀕した折、それがしが、彼の背後の地たる州を衝いたので、一時に徐州は敵の囲みから救われましたな。――あの折、この呂布がもし※(「亠/兌」、第3水準1-14-50)州を襲わなかったら、徐州の今日はなかったわけだ。――自分の口からいっては恩着せがましくなるが、そこをあなたが忘れずにいてくれたのは実によろこばしい。いい事はしておくものだ」

玄徳は、微笑をふくんで、ただうなずいていたが、今度は、彼の手を握って、

「はからずも、その徐州に身を寄せて、賢弟の世話になろうとは。――これも、なにかの縁というものだろうな」

と酔うに従って、呂布はだんだんなれなれしく云った。

始終、気に入らない顔つきをして、黙って飲んでいた張飛は、突然、酒杯を床へ投げ捨てたかと思うと、

「何、なんだと、もういちどいってみろ」と、剣を握って突っ立った。

なにを張飛が怒りだしたのか、ちょっと見当もつかなかったが、彼の権まくに驚いて、呂夫人などは悲鳴をあげて、良人のうしろへ隠れた。

「こらっ呂布。汝は今、われわれの長兄たり主君たるお方に対して、賢弟などとなれなれしく称んだが、こちらはいやしくも漢の天子の流れをくむ金枝玉葉だ、汝は一匹夫、人家の奴に過ぎない男