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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)は、大剣をふりかざし、おのれと、唇をかみ、眦を裂いた。双方の駒は泡を噛んで、いななき立ち、一上一下、剣閃槍光のはためく下に、駒の八蹄は砂塵を蹴上げ、鞍上の人は雷喝を発し、勝負は容易につきそうもなかった。
「待ち給え。両将、しばらく待ち給え!」
ところへ。
城中から馳せ出して、双方を引分けた者は、つい今し方、帝のお傍から見えなくなっていた太尉楊彪だった。
楊彪は、身を挺してふたりに向って、懸河の弁をふるい、
「ひとまず、ここは戦をやめて、双方、一応陣を退きなさい。帝の御命でござる。御命に背く者こそ、逆賊といわれても申し訳あるまい」と、いった。
その一言に、双方、兵を収めてついに引退いた。
楊彪は、翌日、朝廷の大臣以下、諸官の群臣六十余名を誘って、郭の陣中におもむいた。そして一日もはやく李と和睦してはどうかとすすめてみた。
誰もまだ気づかないが、もともとこの戦乱の火元は楊彪なのである。ちと薬が効きすぎたと彼もあわてだしたのだろうか。それともわざと仲裁役を買ってことさら、仮面の上に仮面をかむって来たのだろうか。