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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(一)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 頁
「やあ、遅かったか」
城内の街から城外へ通じるそこの関門は、もう閉まっていた。
「おうい、開けてくれっ」
張飛は、望楼を仰いで、駄々っ子のようにどなった。
関門のかたわらの小さい兵舎から五、六人ぞろぞろ出てきた。とほうもない馬鹿者に訪れられたように、からかい半分に叱りとばした。
「こらっ。なにをわめいておるか。関門が閉まったからには、霹靂が墜ちても、開けることはできない。なんだ貴様は一体」
「毎日、城内の市へ、猪の肉を売りに出ておる者だが」
「なるほど、こやつは肉売りだ。なんで今頃、寝ぼけて関門へやってきたのか」
「用が遅れて、閉門の時刻までに、帰りそびれてしまったのだ。開けてくれ」
「正気か」
「酔うてはいない」
「ははは。こいつ酔っぱらっているに違いない。三べんまわってお辞儀をしろ」
「なに」
「三度ぐるりと廻って、俺たちを三拝したら通してやる」
「そんなことはできぬが、このとおりお辞儀はする。さあ、開けてくれ」
「帰れ帰れ。何百ぺん頭を下げても、通すわけにはゆかん。市の軒下へでも寝て、あした通れ」
「あした通っていいくらいなら頼みはせん。通さぬとあれば、汝らをふみつぶして、城壁を躍り越えてゆくがいいか」